愛犬が糖尿病と診断され、日々の食事管理に悩んでいませんか?「療法食を食べてくれない」「もっと愛情を込めた食事でサポートしたい」そんな思いから、犬の糖尿病の食事を手作りでと考えている飼い主さんは少なくありません。
しかし、何を食べさせて良いのか、栄養バランスは大丈夫か、量はどのくらいか…など、不安は尽きないですよね。
この記事では、そんな犬の手作りご飯初心者の飼い主さんに向けて、獣医師への相談を前提とした上で、家庭で実践できる簡単手作りレシピや、糖尿病の食事療法で重要なポイントを分かりやすく解説します。
正しい知識を持って、愛犬の健康で幸せな毎日のために、美味しい手作りご飯を始めてみましょう。
初心者でも簡単!糖尿病の犬のための手作りご飯レシピ
糖尿病の犬のご飯で最も大切なのは、血糖値の急激な上昇を抑えることです。ここでは、特別な食材や調理器具がなくても作れる、低糖質で栄養バランスを考えた犬の手作りご飯簡単レシピを3つご紹介します。
低糖質ささみと野菜のおかゆ
高タンパク・低脂肪のささみと、食物繊維が豊富な野菜を使った、消化にも優しいおかゆです。主食として安心して与えられます。
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材料(体重5kgの犬の1食分目安)
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鶏ささみ:30g
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キャベツ:10g
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にんじん:5g
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ブロッコリー:5g
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玄米(炊いたもの):20g
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水:150ml
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作り方
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ささみは筋を取り、野菜はすべて細かくみじん切りにします。
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鍋に水、ささみ、野菜、玄米をすべて入れ、火にかけます。
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沸騰したら弱火にし、ささみに火が通り、野菜が柔らかくなるまで10分ほど煮込みます。
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ささみを取り出して細かくほぐし、鍋に戻して混ぜ合わせます。
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人肌程度に冷ましてから与えてください。
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血糖値コントロールを助ける鶏むね肉のスープ
鶏むね肉と、血糖値の上昇を緩やかにするきのこ類を組み合わせた栄養満点のスープです。食欲がない時や、ドライフードへのトッピングとしてもおすすめです。
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材料
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鶏むね肉(皮なし):30g
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しめじ:10g
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パプリカ:5g
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水:150ml
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作り方
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鶏むね肉は小さく切り、しめじは石づきを取ってほぐし、パプリカは細かく刻みます。
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鍋にすべての材料を入れて火にかけます。
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沸騰したらアクを取り、弱火で15分ほど煮込みます。
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具材が柔らかくなったら火を止め、人肌に冷ましてから与えます。
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食物繊維たっぷりミックスベジタブルのトッピング
いつものごはんにプラスするだけで、手軽に食物繊維を補給できるトッピングです。野菜の甘みが食欲をそそります。
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材料
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ブロッコリー:10g
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オクラ:1本
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かぼちゃ:5g(皮と種は除く)
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作り方
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すべての野菜を柔らかくなるまで茹でるか、蒸します。
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細かく刻んで混ぜ合わせ、いつものご飯の上にトッピングします。
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かぼちゃは糖質が多めなので、与えすぎに注意してください。
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糖尿病犬の食事手作り参考動画(イヌメシ【手作り愛犬ごはん】さん)
分かりやすく参考になるYouTube動画です。是非ご覧ください。
糖尿病の犬の手作りご飯で使うべき食材・避けるべき食材
手作りご飯で最も重要なのが食材選びです。ここでは、糖尿病の犬に適した食材と、避けるべき食材をリストアップします。
積極的に使いたい食材リスト
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肉類: 鶏ささみ、鶏むね肉(皮なし)、馬肉、ラム肉など、高タンパク・低脂肪なものがおすすめです。
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魚類: 鮭、たら、カツオなど。DHAやEPAといった良質な脂質が摂取できます。
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野菜: ブロッコリー、キャベツ、きゅうり、レタス、ピーマン、きのこ類など。食物繊維が豊富で、糖質の吸収を穏やかにしてくれます。
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穀物: 玄米やオートミールなど、GI値(食後血糖値の上昇度を示す指標)が低く、食物繊維が豊富なものを少量使いましょう。
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その他: 豆腐、納豆、無糖ヨーグルトなども、タンパク質源として適しています。
血糖値を上げるため避けるべき食材リスト
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糖質の高い食材: 白米、パン、うどん、じゃがいも、さつまいも、とうもろこし、かぼちゃ。これらは血糖値を急激に上昇させるため、避けるか、ごく少量に留めましょう。
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果物: バナナ、ぶどう、りんごなど。果糖が多く含まれるため、与えすぎは禁物です。特にぶどうは中毒症状を引き起こす危険性があります。
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加工品: ソーセージ、ハム、ちくわなどの人間用の加工品は、塩分や糖分、添加物が多いため絶対に与えないでください。
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犬に危険な食材: 玉ねぎ、ネギ類、チョコレート、キシリトールなどは、犬にとって中毒症状を引き起こす大変危険な食べ物です。調理の際はもちろん、誤食にも十分注意してください。
手作りご飯の基本。1日の適切な食事量と栄養バランス
「どのくらいの量を与えればいいの?」というのは、飼い主さん共通の悩みです。ここでは、食事量の目安と栄養バランスの基本を解説します。
体重別に見る1日の給与量目安
犬が1日に必要とするカロリーは、体重や年齢、運動量、避妊・去勢の有無によって異なります。まずは、安静時に必要なエネルギー要求量(RER)を計算してみましょう。
RER(kcal) = 70 × (体重kg)の0.75乗
電卓を使う場合は、「体重(kg) × 体重(kg) × 体重(kg) = √√ × 70」で計算できます。
糖尿病の犬の場合、このRERの1.0倍前後が1日の摂取カロリーの目安となりますが、肥満気味の場合は0.8倍にするなど調整が必要です。
手作りご飯の総重量は、食材の水分量によって大きく変わるため、カロリー計算を基本にするのがおすすめです。ただし、これはあくまで目安です。必ず獣医師に相談し、愛犬に合った適切なカロリーと量を決定してください。
理想的な栄養素の割合
糖尿病の犬の食事は、「高タンパク質」「低脂肪」「高食物繊維」が基本です。炭水化物は血糖値を上げる原因になるため、控えめにします。
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タンパク質: 筋肉を維持し、健康な体を作るために不可欠です。良質な肉や魚から摂取しましょう。
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脂質: エネルギー源として重要ですが、摂りすぎは肥満の原因になります。低脂肪の食材を選びましょう。
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炭水化物: 血糖値に直接影響するため、白米やパンなどの単純炭水化物は避け、玄米やオートミールなどの複合炭水化物を少量使用します。
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食物繊維: 糖の吸収を穏やかにし、血糖値の急上昇を防ぐ働きがあります。野菜やきのこ類から積極的に摂取しましょう。
手作りご飯だけでは栄養が偏る可能性もあるため、獣医師の指導のもと、ビタミンやミネラルのサプリメントを取り入れることも検討しましょう。
手作りご飯を続けるコツ。作り置きと冷凍保存の方法
毎日手作りするのは大変ですが、作り置きや冷凍保存を活用すれば、負担を大きく減らすことができます。
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まとめて調理: 週末などに1週間分を目安にまとめて調理します。
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小分けにして冷凍: 製氷皿やシリコンカップ、フリーザーバッグなどを使い、1食分ずつ小分けにして冷凍します。こうすることで、与える量も管理しやすくなります。
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保存期間: 冷凍した場合の保存期間は1〜2週間を目安に、なるべく早く使い切りましょう。
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解凍方法: 与える際は、前日に冷蔵庫に移して自然解凍するか、電子レンジで人肌程度に温めてください。温めることで風味が立ち、食いつきが良くなる効果も期待できます。
糖尿病の犬でも安心な手作りおやつのレシピ
おやつは愛犬との大切なコミュニケーションの時間ですが、糖尿病の場合は特に注意が必要です。市販のおやつは糖分が多いものもあるため、手作りおやつが安心です。
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茹で野菜スティック: きゅうりやブロッコリーの芯、ピーマンなどを茹でてスティック状にしたもの。
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ささみジャーキー: 茹でたささみを薄くスライスし、オーブンやフライパンで水分を飛ばすだけ。
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冷凍豆腐: 豆腐を凍らせたもの。シャリシャリとした食感が楽しめます。
おやつはあくまでお楽しみです。1日の摂取カロリーの10%以内を目安に、与えすぎないようにしましょう。
糖尿病犬のおやつ参考動画
市販品ですが、手作りが難しい人は参考にしていただくといいかと。
糖尿病の犬の手作りご飯に関するQ&A
ここでは、飼い主さんからよく寄せられる質問にお答えします。
療法食やドッグフードを食べない時の対処法
A. 無理に切り替えるのではなく、まずは今までのフードに手作りご飯を少量トッピングすることから始めてみましょう。少し温めて香りを立たせると、食欲を刺激することができます。徐々に手作りの割合を増やしていくことで、スムーズに移行しやすくなります。
手作りご飯に味付けは必要か
A. 犬のご飯に人間用の調味料による味付けは一切不要です。塩分や糖分、香辛料は犬の腎臓や心臓に負担をかけ、健康を害する恐れがあります。食材そのものが持つ自然な風味や香りで、愛犬は十分に美味しく感じてくれます。
手作りを始める前の獣医師への相談
A. 手作りご飯を始める前には、必ずかかりつけの獣医師に相談してください。これが最も重要なポイントです。
犬の糖尿病の状態や、他に併発している病気がないかによって、最適な食事内容は異なります。獣医師は、愛犬の体重、血液検査の数値、体調などを総合的に判断し、最適な栄養バランスやカロリー、食材について指導してくれます。この記事は一般的な情報提供であり、愛犬の治療を保証するものではありません。自己判断で食事療法を行うことは絶対に避けてください。
まとめ
糖尿病の愛犬のための手作りご飯は、「低糖質・高タンパク・高食物繊維」を基本に、正しい食材選びと適切な量を守ることが大切です。
最初は難しく感じるかもしれませんが、作り置きや冷凍保存を上手に活用すれば、無理なく続けることができます。何よりも大切なのは、飼い主さんが楽しみながら作ることです。
そして、必ず獣医師と密に連携し、愛犬の状態を観察しながら、最適な食事を見つけていきましょう。あなたの愛情がこもった手作りご飯は、愛犬の健康を支え、かけがえのない喜びの時間となるはずです。
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